作り手の一人として

氏家晋也(曲)

日常暮らしている中で、BGMとして聴こえてくる童謡。なにげなく耳にすると、ビジネスとして利用されていることには、不思議とあまり気づかないものです。わたしも、「もうこんな季節になったのか」とか「そろそろ行事の支度をしなければ」など、知らず知らずのうちにその対象の一人になっています。思わず口ずさんでいると、幼い頃に歌っていた作品がほとんどで、歌い継がれてきた名曲は本当に根強いものがあります。
ところで、作り手の一人として、名曲から見習うべき要素はいったい何かを考えてみると、たどりつくところは「言葉の力、旋律の力」だと思っています。それに加え、教育現場への普及が必須だと感じています。童謡祭やこどものコーラス展に数点ほど参加してきましたが、どう作品を伝えていくか、課題はたくさんあります。決して一過性で終わらせてはなりません。出来る限り、信念を持って創作し、発信していく努力をしていきたいと思っています。

童謡誕生100年記念誌「明日へ」 (2018年発売) より再録

氏家 晋也(うじいえ しんや 作曲家)プロフィール
宮城県仙台市出身。
国立音楽大学作曲学科卒業。
1996年 ひびけ野ばら新曲最優秀賞。
1997年 心のうた・ふるさとのうた最優秀賞。
出版作品に「子どものための合唱曲集 ともだち」(音楽之友社)等。 (一社) 日本童謡協会、 日本作曲家協議会、 各会員。