音楽の原点童謡

中村守孝(なかむら もりたか 作曲)

人生童謡に始まって童謡で終わる。そう思ったのが父でした。生まれてすぐに聴く音楽は、母の胸に抱かれて聴く子守歌そして童謡「ねんねんころりよ おころりよ……」「揺藍のうたをカナリヤが歌うよ……」そして幼稚園で「ぞうさん」「めだかの学校」「あめふりくまのこ」と自分で歌える童謡へと成長していく童謡。それから歳とともに好きなジャンルの音楽に目覚め、いっときは童謡から離れ懐かしいジャンルになっていく、童謡はそれでいいのではないでしょうか。今の子供達は果たして大人になったとき童謡が懐かしいと思うでしょうか。童謡はまず家庭から、そして今を生きる子どもの歌は幼稚園・学校から発信できたらいいですね。そのためにも私の音楽教室ではレッスンの後は古今の名作童謡を父母と一緒に楽しんでいます。少しでも情操教育のお役に立てばと思っています。父は生前色々な音楽を楽しんでいましたが、最後は「月の沙漠」を病院で歌っていました。

童謡誕生100年記念誌「明日へ」 (2018年発売) より再録

プロフィール
1950年横浜市生まれ 国立音楽大学卒業
1986年横浜市選挙メロディー作曲(選挙時市内に流れる)
1992年日本創作童謡コンクールで岡野貞一特別賞受賞
2003年第33回日本童謡賞受賞
2015年東久邇宮文化褒賞受賞
現在(一社)日本童謡協会理事