―うたのおにいさん卒業後に番組に提供された作品に、「おかあさんといっしょ」の枠を越えて広がった「ありがとうの花」があります。

坂田:僕の歌の作り方としては――、机に向かって一生懸命詞を書くこともあるんだけど、ベッドのところにノートが置いてありまして、夜中に目が覚めたときに何かイマジネーションがあると、その言葉を寝ぼけたぐちゃぐちゃな文字でノートに書き留める。で、翌日、「お、ありがとうの花が咲くよと書いてあるな」と、なんとか判読して、その言葉を膨らませて詞のかたちにしたり、そのフレーズに合うメロディーを考えていくというパターンがあるんです。「ありがとうの花」はそうやって作っていった歌だと記憶しています。ほかに「おかあさんといっしょ」に書いた中では、♪シアワセってどんなだろう~と歌う「シアワセ」は、夢に浮かんだのを書きとめた詞なんですよ。

 この「ありがとうの花」を発表した数年後に東日本大震災が起こりました。そのときにニュースを見ていると、小学校かどこかに日本全国からたくさんの救援物資が届き、そのことに対して感謝を込めて歌いますとみんなで「ありがとうの花」を歌っている映像を見たんです。そのときに、こんな経験をしたことなかったんだけど、「この曲を作れてほんとうによかったなあ」と心から思いました。

 「ありがとうの花」は、のちに小学校の音楽の教科書にも採用されるなどして、より多くのこどもたちが歌ってくれる曲になりました。