NHK「おかあさんといっしょ」の7代目「うたのおにいさん」を務め、「ありがとうの花」「ママの結婚」はじめ数々の名曲を作詞・作曲されてきた坂田おさむさん。
インタビュー《後編》では、坂田さんをかたち作った童謡やこどもの歌への思い、昨年受賞された「童謡文化賞」について、坂田さんの活動のテーマのひとつである「世代を越えてゆく歌」についてなど、幅広くお話しいただきました。
取材 三平典子・桑原永江
構成 桑原永江
―「おかあさんといっしょ」のうたのおにいさん時代には、童謡の名作をスタジオで歌うことも多かったと思いますが、こどもたちの反応はいかがでしたか。
坂田:「七つの子」、「しゃぼんだま」、「おさるのかごや」など、よく歌ったと思います。 「おかあさんといっしょ」にはディレクターが何人もいらして、週単位で担当されるかたが5、6人いらっしゃったのかな。その中には、ご自分の担当週のときに、何曲か歌ううちの1曲に、そうした伝統的な童謡を必ず入れられるディレクターがいらっしゃいました。
実は、僕もおにいさんになりたての頃は、こういう歌はウケるのだろうか…と思っていたんですが、歌ってみるとそんな心配はいらなかった。「七つの子」とか、スタジオ収録のときに初めて聴いたって子も多かったはずだよ。おとうさんおかあさんが「♪かーらーすー なぜなくのー」って歌って教えてるとは思えないから。だから、スタジオでおにいさんおねえさんに「七つの子をいっしょに歌いましょう!」って言われて、こどもたちは「知らないよ」って思ってるかもしれない。でも、みんなちゃんと聴いてたから、やっぱり名曲は名曲で、いい歌は残るべくして残ってるってことなんじゃないかな。ちょっとゆったりしたテンポの曲でも、ちゃんとこどもたちの心にふれる歌がある。
童謡はノスタルジーだけだからダメ、とか、童謡はお年寄りのかたが懐かしく聴くものではないの? ――なんてときどき言われたりするけど、そんなことはないと思いますね。