【童謡碑・静岡】
加藤省吾作詩、海沼 実作曲「みかんの花咲く丘」(昭和21年8月)の童謡碑(作者直筆の、1番の歌詩と楽譜)が、伊東市宇佐美の亀石峠へ向かう19号線の左側にある。昭和58年11月の建立である。
加藤省吾〈1914(大正3)~2000(平成12)〉は静岡県富士市の出身で、昭和13年にレコード化された「かわいい魚屋さん」(山口保治作曲)のヒット曲があった。
昭和21年8月のことだが、音楽の月刊雑誌の編集員だった加藤が24日に、東京芝の、少女歌手・川田正子(当時12歳で小学6年生)宅へインタビューに出かけた。その時、川田家に住み込んでいた海沼 実から、明日25日に、NHKのラジオ番組「空の劇場」で、東京のスタジオと伊東の西国民学校を結ぶ、日本で初めての“二元放送”が行われる。伊東で川田正子がうたう歌を書いて欲しいと、急ぎの作詩を頼まれたのだった。
加藤は12時半から13時までの30分間で、「みかんの花咲く丘」を書きあげたそうだ。海沼は川田正子と共に出発し、GHQで詩の検閲を受けた後、伊東行きの汽車に乗った。この車中で曲を書いたのである。伊東の宿で早速、川田への歌唱指導に入ったという。
25日の「空の劇場」についてだが、伊東市在住の児童文学者・山本 悟氏が、会場になった伊東市立西小学校を訪ねて、当日の校務日誌を閲覧されている。日誌には、「『空の劇場』開催、放送劇9時終了」と記されているという。25日は日曜日で、公開放送は夜だった。校庭からの中継予定だったが、雨のため講堂で行われた。窓ガラスが割られるほど人々が詰めかけていたそうだ。
レコードは翌昭和22年に、井口小夜子がうたったもの(キングレコード)と川田正子がうたったもの(日本コロムビア)が発売された。
執筆・楠木しげお
みかんの花咲く丘 伊東 写真