会長・湯山 昭
童謡協会は童謡を愛してやまない詩人と作曲家の集団です。その愛してやまない心で詩人と作曲家たちはたゆまず創作にいそしんでいます。子どものために創られた優れた詩とメロディーは大人の心まで届き胸をふるわせます。あの悲惨な東日本大震災の時、うずたかく積まれた瓦礫の前で子どもと大人が一緒になって歌った「故郷」の歌声に、日本中が涙したことを決して忘れません。98年前に創られた高野辰之・詩 岡野貞一・曲のこの「故郷」の歌は約100年の生命を持って生き続け、被災した多くの皆様に勇気と明日への希望を与 えてくれたのでした。私たち童謡作家が後世に残る歌をどれだけ創れるのか、そのための感性を童謡協会に所属する詩人や作曲家に求めたい、その発表の場として毎年行われているのが童謡祭や子どものコーラス展なのです。いま生きる子どもたちのために書いた歌が、未来に続く普遍性を持った歌になるよう、会員の皆様とともに進んでゆく童謡協会でありたいと願っております。
副会長・宮中雲子
花を摘みながら、虫を追いかけながら、ごく自然に歌っていた童謡の数々。雨が降れば降ったで、窓の内側から表を眺めて、早く晴れるといいなと歌ったものでした。幼い頃、身の回りにたくさんの歌があって、歌と共に暮らしてこられた豊かさ。振り返ってみて、歌う楽しさを味わい、歌に育てられてきた幸せがどんなに大きいものであったかを思うのです。童謡を愛し、童謡を創ることを志す人々は、童謡の持つ力の大きさをよく知っているに違いありません。拉致され、監禁という過酷な状況の中、身についた童謡を歌いながら耐えたという話を聞いたことがあります。童謡を歌いながら、母の帰りを待った経験をお持ちの方も多いでしょう。こどもの頃覚えた童謡が、その後の人生に及ぼす影響がいかに大きいかは計りしれません。沢山の美しい花が世界を潤すように、いい童謡でこの世の中を充たしたい…そんな願いを抱いて、皆さんと共に進んでいければと願っています。